ピロリ菌とは

ピロリ菌とは、胃の粘膜に生息しているらせん状細菌のことです。正式名は’ヘリコバクター・ピロリ’ (Helicobacter pylori)です。ピロリ菌が強酸性を持つ胃の中で生きれる理由は、胃の中にある尿素をアンモニアと二酸化炭素に分解し、アンモニアで酸を中和することにより、周りの酸を和らげて生きられるからです。

また、胃がんはピロリ菌と関係していると言われています。今回は、胃がんとピロリ菌の関連性についてお話しします。ピロリ菌を早い段階で発見し、胃がんを防ぎましょう。

ピロリ菌と胃がんの関係について

1994年、WHO(世界保健機関)はピロリ菌を「確実な発がん因子」と認定しました。ピロリ菌の感染が長期間で持続すると、胃の粘膜が薄くなり、胃がんが引き起こしやすい状態を作り出します。ピロリ菌を除菌すると胃がんが発生する確率を減らすことができます。早期胃がんを発覚し、治療にピロリ菌を除菌した患者さんは、除菌しなかった患者さんに比べ、3年以内に再び胃がんを発症した人が約3分1だったと報告されています。WHOの国際がん研究機関は、ピロリ菌の除菌は胃がんを大幅に減少できたことと話しています。

感染経路

ピロリ菌の感染経路ははっきりと分かっていませんが、口を介した感染や幼少期に生水を摂取したことが多数を占めていると考えられています。

ピロリ菌の症状

・胃もたれ・吐き気・空腹時の痛み・食後の腹痛・食欲不振

ピロリ菌の判定方法

当クリニックでは血液検査と呼気検査、2種類の検査が可能です。

血液検査はピロリ菌に対する抗体の存在を調べることができます。現在感染している、または過去に感染したことがある人は血液中に抗体が作り出すため、抗体が検出される場合は、ピロリ菌があるか調べられます。
または、ピロリ菌検査の中で最も精度が高い「尿素呼気試験」を行います。2回呼気テストを採取し、ピロリ菌現在感染しているかどうか調べられます。

*空腹の状態で検査しますので、検査前2時間以上の絶食が必要となります。喫煙、お水の摂取もお控えください。

また内服中の薬の種類によって、検査結果に影響されるため、検査前に医師にご相談下さい。

治療法

ピロリ菌の除菌治療は胃酸の分泌を抑制する薬と2種類の抗生物質を合わせて3つの薬を使用します。この3つのお薬を1週間〜2週間内服する必要があります。場合に応じて胃粘膜を保護する薬剤を併用します。しかし1回だけで除菌できない場合もあるので、内服終了し1ヶ月後に再度検査を行い、除菌できたかを確認する必要があります。

ピロリ菌保菌者は無症状が多いので、年に1回健康診断と合わせ、ピロリ菌検査をお勧めします。ピロリ菌を早い段階で発見することで、胃がんの予防にもなりますので、定期的に検査を受けましょう。

また、ピロリ菌治療は保険適用対象内となりますので、体調に不安がある方はお気軽にご相談ください。